家族4人で福岡・佐賀への旅を決めた理由
正直に言うと、この旅行を計画したのは私ではなく、妻だった。
「ねえ、今年のゴールデンウィーク、どこか遠くに行きたいな」と切り出したのは妻で、「九州はどう?太宰府とか、温泉とか」と続けた。中学1年の息子と小学4年の娘も「行きたい!」と即乗りして、気がつけば私だけが財布の中身を心配しているという、わが家ではおなじみの構図になっていた。
とはいえ、私だって行きたい気持ちはある。40代も後半に差し掛かり、子どもたちと一緒に旅行できる時間は、思っているより少ないのかもしれない。息子はもう中学生。あと数年もすれば「家族旅行より友達と…」となるのは目に見えている。
よし、行こう。ただし、できるだけ安く。
それが今回の旅の出発点だった。
計画の核心は「いかに安くするか」だった
まず航空券を探した。関東から福岡といえばLCC含めて選択肢は多い。複数の比較サイトを行き来しながら、早割と便の時間帯を組み合わせて、家族4人分のチケットをなんとか許容範囲に収めた。航空券だけで4人分となるとそれなりの金額になるので、ここで節約できた分は大きかった。
次の課題はレンタカーだ。
福岡と佐賀を5日間で回るとなると、公共交通機関だけでは厳しい。太宰府はまだしも、糸島や武雄温泉、嬉野温泉となると、車がないと不便な場所も多い。4人家族でタクシーを使い続けるのはコスト的に論外。レンタカーは必須だった。
問題は、5日間というレンタル期間だ。日数が長くなるほど料金がかさむ。しかも家族4人分の荷物がある。キャリーケース、子どもたちのリュック、温泉に行くなら着替えも増える。コンパクトカーでは明らかに荷物が入らない。ある程度の車格が必要で、そうなると料金はさらに上がる。
パソコンの前に座り、比較サイトをいくつも開いた。楽天トラベルのレンタカー比較、じゃらんレンタカー、各社の公式サイト。気になった会社は公式ページまで掘り下げ、料金表を細かく確認した。1日あたりの基本料金だけでなく、免責補償料、ETC車載器レンタル料、追加運転者料金……こういった「オプション料金」が積み重なると、最初に見た料金とかなり変わってくることを、過去の旅行で何度か経験していた。
ガッツレンタカーか業務レンタカーか最後まで迷った
福岡空港周辺のレンタカーを調べていくうち、候補は自然と絞られていった。大手各社は安定感はあるが、5日間・ミニバンクラスとなるとどうしても料金が高い。そんな中で目についたのが、ガッツレンタカーと業務レンタカーの2社だった。
どちらも「格安」をウリにしていて、料金だけ見るとかなり安い。私はこの2社を軸に、本格的な比較に入った。
ガッツレンタカーは全国展開していてレビューもそれなりにある。業務レンタカーは「業務用」という名前が少し気になったが、調べてみると一般の観光客も普通に使っていることがわかった。
比較していくつかの点で業務レンタカーが優位だと感じた。
まず立地。福岡空港から近く、送迎もあるとのこと。空港に降り立って、荷物を持って子どもを連れて移動するのは想像以上に疲れる。特に旅の初日はテンションが高い分、子どもたちは走り回るし、妻は「あれ持って」「これ確認して」と指示が飛ぶ。アクセスのしやすさは、思っている以上に大事だ。
次にETC車載器。業務レンタカーはETC車載器が無料で使えるという情報を見つけた。これは地味に大きい。高速道路を使う予定が多い今回の旅では、ETCがあるかないかで料金計算がまったく変わってくる。他社では有料オプションになっていることが多く、5日間借りれば数百円でも積み重なる。
そして追加運転者の料金。私と妻の2人で運転を交代する予定だったので、追加運転者の扱いは重要な確認ポイントだった。公式サイトを確認し、念のため電話でも問い合わせた。対応は丁寧で、疑問点をきちんと説明してもらえた。
車種の豊富さも決め手になった。5日間・4人家族・荷物多め、という条件でもちゃんと選択肢があり、ミニバン系のクラスも用意されていた。
総合的に判断して業務レンタカー福岡空港店に決めた。
旅の始まり。福岡空港に降り立って
出発当日、羽田を朝早い便で出て、福岡空港には午前中に着いた。機内では子どもたちがすでにはしゃいでいて、隣の席の人に少し申し訳ない気持ちになりながらも、まあ旅行だからと自分に言い聞かせた。
到着ロビーを出ると、業務レンタカーの送迎が来るまでそれほど待たなかった。事前に手続きを済ませていたこともあり、営業所での作業もスムーズだった。選んでいた車はミニバンクラスで、荷室にキャリーケース2つ、リュック類を入れても余裕があった。子どもたちが後部座席に並んで座り、「広ーい」と言ったときは、選択が正解だったと思った。
ETCカードを挿して、いよいよ出発。旅のエンジンがかかった瞬間だ。
1日目・2日目:太宰府天満宮と糸島
太宰府天満宮——息子の受験を、心の中で祈った
最初の目的地は太宰府天満宮だ。来年、息子は高校受験を控えている。本人はまだどこか他人事のような顔をしているが、親としてはやはり気になる。学問の神様・菅原道真公に手を合わせに来た、という建前もあるが、正直なところ「これで少しでも本人のスイッチが入れば」という親の欲目もあった。
参道を歩くと梅ヶ枝餅の香りが漂ってくる。娘が「食べたい」と言い、息子も「まあ、食べてもいいけど」と強がりながらも目が輝いていた。家族4人でベンチに腰かけて、温かい梅ヶ枝餅をほおばった。甘くて、外はカリッとして、旅の始まりにふさわしい味だった。
本殿での参拝を終えてから、息子が絵馬に何かを書いていた。覗こうとしたら「見るな」と言われた。まあ、そういう年頃だ。
糸島——家族で海を見た午後
翌日は糸島へ。「インスタ映えするところでしょ」と娘が言い、確かにそうなのだが、実際に行ってみると写真映え以上の場所だと感じた。
二見ヶ浦の夫婦岩の前で、妻が「きれいだね」とつぶやいた。子どもたちも無言で海を眺めていた。家族4人が同じ方向を向いて、同じものを見ている時間。こういう瞬間のために旅行をしているのだ、と改めて思う。
糸島はカフェやランチスポットも多く、妻が事前に調べていたお気に入りの店でランチを食べた。テラス席から海が見えて、料理もおいしくて、妻の機嫌が上がった。妻の機嫌が上がると、旅全体の空気がよくなる。これはどの家庭でも同じだと思う。
3日目・4日目:佐賀県へ。武雄温泉と嬉野温泉
武雄温泉——楼門の朱色に圧倒された
3日目は佐賀へ移動した。高速を使えば福岡市内から1時間ちょっと。ETCがあるので料金所もスムーズで、ストレスがない。
武雄温泉に着いてまず目に入るのが、重要文化財に指定されている朱色の楼門だ。写真で見ていたが、実物は迫力が違う。「お城みたい」と娘が言い、息子は「確かに」と素直に感心していた。
温泉街を歩き、共同浴場にも入った。古い湯船に浸かりながら、メーカーの仕事で溜まっていた疲れが抜けていくような気がした。温泉というのは不思議なもので、同じお湯でも「ここまで来た」という事実が、効能を高めてくれる気がする。
嬉野温泉——とろとろのお湯と、家族の夜
4日目は嬉野温泉へ。武雄からそれほど距離もなく、車でサクッと移動できるのがレンタカーの便利なところだ。
嬉野温泉は「日本三大美肌の湯」として知られている。妻がそれをかなり楽しみにしていたらしく、旅館に着くなり温泉に直行した。私も入ってみたが、確かにお湯がとろとろで、肌にやさしい感触がある。
夕食は旅館の食事処で、佐賀牛を使った料理が出てきた。「お父さん、これおいしい」と娘が言い、息子も無言でモリモリ食べていた。子どもたちがおいしそうに食べている顔を見るのは、親としてシンプルにうれしい。
夜、子どもたちが寝た後、妻と2人で湯上りに縁側に座った。「来てよかったね」と妻が言った。「そうだな」と私は答えた。それだけで十分だった。
5日目:福岡市内を少し寄り道して、空港へ
最終日は福岡市内を少し散策してから返却する計画にしていた。天神や博多駅周辺でお土産を買い、明太子や辛子高菜、博多ラーメン関連のものを山ほど買い込んだ。子どもたちは「もつ鍋セット買って」と言い、妻は「あれも」「これも」と次々とカゴに入れていった。荷物が増えることへの不安は、ミニバンクラスを借りた時点で解消されていた。
営業所への返却もスムーズだった。5日間走った車に、ちょっとした感謝の気持ちが湧いてくるのは旅行者の性だろうか。空港へ送ってもらい、チェックインして、搭乗ゲートで待つ間、息子がスマホで撮った写真を見返していた。太宰府で書いた絵馬の前で撮った1枚がある。何を書いたのかはまだ教えてくれない。
旅を終えて——業務レンタカーを選んでよかった、と思う理由
5日間の旅を終えて、レンタカーについて振り返ると、業務レンタカーにして正解だったと感じている。
料金の安さはもちろんだが、それ以上に「追加で取られるコストがない」という安心感が大きかった。ETC車載器が無料で使えたことで、高速道路を気兼ねなく活用できた。追加運転者の料金も事前に確認していたので、妻と交互に運転しても想定外の出費にならなかった。
4人家族の荷物を乗せても余裕のあるミニバンクラスが選べたこと、福岡空港からのアクセスがよかったことも、旅のストレスを減らしてくれた要因だ。旅先でのストレスは、意外と「移動の不便さ」や「料金の不透明さ」から生まれることが多い。そこをきちんと抑えられたのは、事前のリサーチに時間をかけた甲斐があったということだと思う。
47歳、家族4人の九州旅行。お金をかけすぎず、でもちゃんと満足できる旅ができた。子どもたちもいい顔をしていた。妻も笑っていた。
それで十分だ。また来よう、と思える旅だった。